勝ってきました！
勝った！４年ぶりの優勝である。確かにラッキーもあった。でも今回は今出せる力を全部出せた。せっかく優勝したのでその一部始終を報告したいと思う。みなさんの何かの足しになればと思う。
2003年度、最後の全日本は和歌山県のビッグホエールにて行われた。立派な会場である。今年の１月〜２月にかけては中日インドア後、転職の準備のため（途中旅行などにいったりしたが）忙しく、あまり練習できていない。ちなみに弓も中日インドアの時のまま、ストリングは【縛り付け】仕様で出場した。
予選はへたくそだった。うまく射てない上に、得意の煩悩シューティングの連発で、前半ひどい。後半もっとひどいの561点。しかもラス射が８点の最低のフィニッシュ。今年最低レベルの点を記録。終わったーと思っていたが天の救いがあった。なんと８位同点５人のシュートオフになっていたのである。
シュートオフ。自分はこれまでの全日本で数えきれないほどシュートオフをしてきた。が、過去勝利した記憶があるのは初出場した２０００年の全日本選手権の準決勝のみ。たったの１回コッキリである。率にすれば１割を楽に切っている。が、今回はなぜか勝てた。２本射ったが２本とも簡単に１０点に入った。単に欲がなかったという話もあるが。あんなに緊張した予選がうその様に全然は緊張はなく射に集中できた。
やったー久々のトーナメント進出である。それだけでもかなりうれしかった。
翌日。準々決勝１回戦は予選１位のY田選手と対決。負けて当然。勝てたらラッキー位の気持ちで望む。試合開始の１エンド目。射形だけを意識して射つ。３射とも少し上に外たがリリースの切れのフィーリングがいい。多少緊張はあるもののこれなら勝負になるかなと感じた。２エンド目は１エンド目の悪い点のみ意識して射った。１本は外れたが２本１０点に入り２９点。悪い点とは引き手。よく甘くなる自分の欠点だ。試合はこの時点で５６点で１本のビハインド。3エンド目はY田選手が勝負をかけてきたような感じ。３本とも少し早いタイミングで射ち３射とも１０点付近に当てたのが見えた。満射かな？自分はこの回１本しか１０点に入らず２８点だったので、満射を取られると３点差となり、ほぼ負けが確定してしまう。２本は確実に１０点。１本が微妙だったのでジャッジを呼んだ。ファーストコールは９点。Y田選手はセカンドコールを呼んだ。しかし９点のコール。自分としてはなんとか望みが繋がった感じだ。
２点差のビハインドで迎えた最終エンド。Ｙ田選手は１本でも１０点に入れれば負けなしほぼ勝ちが確定する。その気持ちが緊張になってシューティングに現れているように見えた。逆に自分はもう満射しかない。しっかり射つことだけを考える。その結果はY田選手２７点、自分２９点。トータル１１３点対１１３点で、なんとか追いつきシュートオフになった。結局シュートオフも両者とも１０点を射つことができず、３射目の【中心からの距離勝負】までもつれこんだ。しかもその距離差は、わずかに自分の方が近いように見えるが微妙な差。測定するジャッジも緊張しているのであろうか手がすごく震えている。そんなんで正確に測れるのかと、余計な心配をしつつ出た測定結果は１０ｍｍ対１２ｍｍでなんとか自分が勝利した。
思えば４年前、初めて出場した福島の全日本インドアで兵庫出身のある選手と演じたシュートオフ。初めてのシュートオフでお互い緊張でがちがちブルブルで結局勝負は３本目までもつれ40ｍｍ対45ｍｍで負けた。そんな試合をやっていた４年前から比べると少しは成長したのかなぁと少し感慨深かった。
準決勝の相手は愛知県のO野選手。『相手を意識しながら試合をしたら絶対に負ける。自分の射に集中する』そう自分に言い聞かせながら試合に臨んだ。１エンド目は準々決勝とまったく同じように少し上目に外れたがフィーリング良く妙な安心感がある。（このとき一回戦の対戦相手のY田選手は、この時にこの対戦は自分が勝つなと思ったらしい）対するO野選手氏は２９点。２エンド目は１エンド目の悪いところを修正して２９点。O野選手は２８点。この時点で５７点対５６点でO野選手の１点リード。そして３エンド目自分２９点。O野選手２８点で同点に追いついた。流れはいい。でも同点に追いついたことを絶対に意識しない。相手の的を見ない。射形に集中するんだ！と心に言い聞かせながら最終エンドを射つ。自分２９点でO野選手２７点で逆転！うれしい勝利である。
決勝戦。ここまでくればもう勝つしかない。決勝戦の相手は車椅子アーチャーのS下選手である。S下選手は世界大会に何度も出場経験がある強者で、またここ数年は全日本インドア決勝ラウンド進出（ベスト８）者の常連でもある。決勝戦は１射40秒の交互射ちで自分が先行。１射目エイミングが少し長かったが10点に入る。S下選手は９点、そして２射目に8点にはずす。その瞬間、俺もそこそこ緊張していたが相手はもっと緊張してるなと思ったら妙に楽になった。その後２エンド目で1点差に追いつかれるが３エンド目には点差を３点に広げ、迎えた最終エンドは３点差。もう試合としては楽勝ペースなのだが、やはり勝ちを意識すると煩悩が出てくる。待ってましたとばかりに威力を発揮する。１射目から突然サイトピンが大きくグルグル動き出すようになり、びびる。うわっ！と思うや否や暴発し、どこで射ったか分からない。Mでもおかしくないそのショットは運良く左上の９点。本当にそんな状態のショットだった。しかし２射目には落ち着き１０点を外したものの普通だった。３射目は有終の美を飾りたい、絶対に１０点に入れる！と気合を入れて射ち１０点！優勝だぁ！ちゃんと最後１０点で終われたのが良かった。予選通過は拾いものだったが決勝からは持ち直し、今ある実力を出せ、よかった。満足まんぞく。
応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。